元推しが廃業した話
こんにちは!オタクです。
推しの数だけ、オタクがいる。オタクの数だけ、推し方がある。
私もそのオタクの1人であり、いわゆるTOってやつでした。
月に1、2回のイベントのために、来る日も来る日もバイトバイトバイト。授業は切って単位は現在ギリギリ、就活の準備も程々、体調不良も重ね続けているのに、お金はいつもギリギリ。
でもそれでも楽しかったんです。元推しがいたから。
今思い返せば、人としてどうなの?って思う部分は沢山ありました。
お花もプレゼントも手紙ですらも1回も「ありがとう」って言われたこと無かったし、Twitterの更新もまちまち、同じ週の別々のラジオ番組で全く同じ話するし。
自分で「自己満足で見返りを求めてないから、お花とかプレゼントのお礼なんていらない!」なんて強がっていたけど、他の芸能人の方はちゃんとお礼もいうし、いつも応援してくれる人には多少特別対応してくれるみたいですね。この間初めて知りました。
それでも、彼のことをずっと好きでいられ続けたのって、やっぱりこれからが期待できる声と演技があったからだと思うんです。
ファンにはテキトーかもしれないけど、彼は人一倍担当したキャラのことを愛し、理解し、それを自分の中で落とし込んで表現していた。
1番はここが好きで、彼のそんな一面が私をここまで夢中にさせてくれた。
ファンの対応なんてどうでもいい、彼ならもっともっと大きい世界に羽ばたける。
そう信じて疑わなかったから、私はそれに賭けた。
だから毎回公演で、お花もプレゼントも手紙も出した。
Twitterにもたくさんリプを送った。
人気があるって証明したくて、通販で減らない彼のキーホルダーを90個近く買って完売させたし、ライブでは上限ブロマイドを買って全部交換した。
現場もほぼ通った。
リリイベもたくさんCDを積んで、鍵閉めもたくさんした。
私はこれをほとんど口外にしないで、話したとしても数人の友人だけにした。マウントを取りたいからしたんじゃなくて、本当に彼のことを思っていたから。
最後にここぞとばかりに綴っておきます。
でも、私がそんなに大好きだったら彼に不信感を抱いたのは廃業が決まる半年以上も前だった。
最後に人前に出たライブの頃には、私はこの人の引退を察知していた。
だから卒業コンサートだと思って、最後のお金をたくさん使った。彼の好きなものをたくさん詰め込んだフラスタを立てて、楽屋花を送って、卒業祝いだと思ってプレゼントを準備した。
友達に頼んで、自名義で2列目のチケットも取った。
目立つうちわの作り方も教えて貰って、何度も試行錯誤して作り上げた。
まだ心のどこかで、まだ今後があるんじゃないかなって期待しながら公演に行ったけど、最後の彼のソロ曲でうっすら涙を浮かべているのを見て、「あ、ここまでだな」って思って、あまりのショックで涙も出なかった。
その日から私の中で、彼は世界一好きな人から世界一嫌いな人になった。
私はこの人を推して、「推しは、推せる時に推せ」という言葉が嫌いになりました。
言葉が嫌いになったというか、今更この言葉を使って騒がないで欲しいというか。
本当に推せる時に推してた人は、どこまでが推し時だったか分かるはずなんです。
なんでお仕事が一個もない時期を、推すべき期間だと思えるのか。本当の推すべき時間はもっと前にあって、今頃推せばよかったと言わないで欲しいのです。
それと引き際も大事だと思います。
私はこの最後の公演の時点で引退を覚悟したので、楽しい内にオタクをやめられたことは幸運だったなと思います。
推し時はわかる、などと上に書きましたが、今まで積み上げた気持ちを崩すのはかなりの抵抗があると思います。
オタクって趣味である以上、楽しくないといけないんだなって。好きでいることを義務にしたら、それは崩壊への始まりです。
楽しく始め、楽しく終わる。
これを実行することが、どれだけ大変なことか。
そして、特に推しにあたる方々に言いたい。
「推す」って、人生のクラウドファンディングなんですよ。
たくさんの推しの中からあなたを選んで、お金だけじゃなくて時間もかけているわけです。あなたのために。
そんな方に感謝を伝えていないのに、あなたのことを好きでい続けている人がいるなら、あなたが相当スキルを持っているか、その人が相当無理をしているかのどっちかだと思います。
そんな人生を賭けたオタク、あなたが少しでも蔑ろにしたら、オタクは人生を捨てたも同然なんです。
オタクは何があってもあなたに「ありがとう」と伝え続けるでしょう。
だから、あなたもオタクに少しでもいいから本心から「ありがとう」と伝えてください。
そこに「いつも」を付けると更にいいです。
とまぁ、少し話が逸れましたが。
廃業発表の当日は、悲しい気持ちより嬉しい気持ちのが勝っていました。
多分今まで推してきて、そして降りた事実がリセットされたからだと思います。
むしろ、「皆様から頂いた経験を宝にって、お前だけ勝手に思い出に浸って気持ちよくなってんじゃねぇよ〜!!」くらいまでは言っていました。
オタクの気持ち無駄にして、食う飯は美味いか?って。
なぜ彼が廃業したのか、その事実は一生分からないでしょう。
所詮、私たちはオタクですから。
死ぬほど彼のことは嫌いけど、私が彼を人生を賭けて応援し、たくさんのオタク友達と繋がり、楽しい時間を過ごしたことは事実です。一生の友達になるんじゃないかと思えるくらい、仲良くできる友達もたくさんできました。
楽しい時間を提供してくれたことには、とても感謝しています。
「私はこの人を最後の推しにする!」と降りる時には、豪語していましたがオタクは気質、今また新しい推しができました。
この人もまたお仕事に一生懸命すぎるくらい一生懸命で、いつもオタク限らず、スタッフ共演者そして家族等々、周りの人にありがとうを常に伝えている方で。
いつかはこの人とお別れする時があるのかなと思う時もあるけれど、今は彼のことを楽しく応援していきたいと思っています。
元推しから学んだことを、次の推しのオタ活に活かして、今私がしたい応援をしていきたいです。
……死ぬほど嫌いになったけどね。本当に私、貴方のことが大好きだったんだよ。本当に。